自作タワー型デスクトップ 到着時破損で起動できないトラブルの修理事例

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はじめに

今回は、配送到着時にパソコン本体が破損しており、起動できない状態になっていた自作タワー型デスクトップPCの修理事例をご紹介します。
確認したところ、ケースの損傷、グラフィックボードの破損、マザーボードのPCIスロット変形が見られ、内部にかなり大きな力が加わった可能性が高い状態でした。
一方で、CPU・メモリ・SSD・電源ユニットは確認した範囲では大きな異常が見られず、最終的にはケース交換、マザーボード交換、グラフィックボード交換、各部品の移設作業を実施し、Windowsが正常起動できる状態まで復旧しています。

同じ症状が出ていないか確認

以下のような症状がある場合、今回と似た配送破損や内部部品損傷の可能性があります。

・宅配便で届いたあとから急に起動しなくなった
・電源は入るが画面が映らない
・ケースがへこんでいる、足が割れている
・グラフィックボードが斜めになっている、ぐらついている
・輸送後にファンは回るが起動しない
・マザーボードや拡張カードの固定位置がずれている
・自作PCを送ったあとから映像出力が出なくなった

特に重量のあるグラフィックボードを搭載した自作PCでは、輸送時の衝撃によってスロットや基板側へ大きな負荷がかかることがあります。

お問い合わせ内容

今回のお問い合わせ内容は以下の通りです。

・パソコン到着時に破損していた
・グラフィックボードが歪んでいる
・マザーボードが歪んでいる
・起動できない
・ケースの足が破損している

機種情報

項目内容
メーカー自作
機種タワー型デスクトップ
OS不明
補足梱包材はパソコン宅急便を使用 / グラフィックボード搭載構成

現象確認

実機確認の結果、まず外観上の破損が確認できました。

・ケースの損傷あり
・ケースの足の破損あり
・グラフィックボードの端子部に破損あり
・マザーボードのPCIスロット部分に変形あり

この状態では、単純な起動不良というよりも、輸送時の衝撃によって内部パーツの固定位置や接続部が損傷した状態と考えられました。
通常、グラフィックボードはPCIスロットへ差し込み、さらにブラケット部をネジで固定して使用します。それにもかかわらず、カード側とスロット側の両方に変形が生じていたことから、かなり強い力が一方向または斜め方向に加わった可能性があります。

また、OSは不明でしたが、修理後の動作確認工程の中でWindows環境が残っていることを前提に復旧を進める必要がある状態でした。

点検・診断結果

今回の事例では、破損部位と無事だった部位を切り分けることが非常に重要でした。
そのため、起動に関わる主要部品を順番に確認しています。

外観確認

・ケースの破損を確認
・ケース足の破損を確認
・グラフィックボードの端子部分に破損を確認
・マザーボードのPCIスロット部分に変形を確認

外装だけでなく、内部の拡張カード周辺にまで力が加わっていることが分かる状態でした。

マザーボード・拡張カード確認

・PCIスロットの変形あり
・グラフィックボード固定状態に異常あり
・グラフィックボード破損により正常装着が困難な状態

PCI Expressスロットは見た目以上に精密な部位で、わずかな変形でも接触不良や起動不良の原因になります。
今回はカード側だけでなくスロット側もダメージを受けていたため、マザーボード交換が必要と判断しやすい状態でした。

CPU確認

・CPU動作は現時点で問題なし

CPUそのものには大きなダメージは確認されませんでした。

メモリ確認

・破損なし
・異常なし

輸送破損が大きい場合はメモリの浮きや破損も疑いますが、今回の確認範囲では問題ありませんでした。

SSD / HDD確認

・SSDに破損なし
・異常なし
・移設対象として使用可能と判断

ストレージが無事であったことは大きく、OS環境やデータを残したまま復旧を目指せる可能性がありました。

電源ユニット確認

・現時点では異常なし
・出力テストOK

電源ユニットも外見上・動作上ともに大きな異常は見られませんでした。

技術的判断

今回の起動不良は、グラフィックボードとマザーボードの物理破損が主因である可能性が高いと判断しました。

その理由は以下の通りです。

・ケース足の破損があり、外部からの衝撃が実際に加わっていたことが分かる
・グラフィックボードの端子部分が破損していた
・マザーボードのPCIスロット部分が変形していた
・一方でCPU、メモリ、SSD、電源ユニットには大きな異常が見られなかった

この状況から、電源不良やストレージ故障による一般的な起動不良というより、配送時などに加わった強い衝撃で拡張カード周辺が破損し、その結果として起動できなくなったと考えるのが自然でした。

また、グラフィックボードがネジ固定されていたにもかかわらずスロット側まで変形していた点は重要で、軽微な振動ではなく、かなり大きな力がかかった可能性を示しています。
このため、単にカードを差し直す、見た目を整えるといった軽作業ではなく、基板側を含めた部品交換が必要な案件と判断しました。

さらに、自作PCではマザーボード交換後にWindowsライセンス認証が外れる可能性があります。
今回はもともとのライセンス状態が不明で、本体にプロダクトキーの記載もなかったため、修理後に認証対応が必要になることも想定しながら進める必要がありました。

想定される原因

1 輸送時の強い衝撃

今回もっとも可能性が高いのは、配送中にかなり大きな衝撃が加わったことです。
ケース足の破損、グラフィックボードの破損、PCIスロット変形が同時に出ているため、内部まで力が伝わったと考えられます。

2 重量のあるグラフィックボードへの負荷

グラフィックボードは大型化・重量化しているため、輸送時に揺れや衝撃が加わるとスロット側へ負担が集中しやすくなります。
固定されていても、横方向やねじれ方向の力には弱い場合があります。

3 ケースの損傷による内部アライメントの崩れ

ケース自体が歪むと、拡張カードの固定位置や基板の装着位置がずれ、二次的にスロットや端子へ負担がかかることがあります。
今回もケース損傷が内部部品の破損に影響した可能性があります。

4 旧規格パーツゆえの交換難易度上昇

グラフィックボード、マザーボードともに数年前の規格とのことで、同等部品の調達が難しく、価格も上がりやすい状況でした。
そのため、修理そのものだけでなく、部品選定も難しい案件になりやすいと考えられます。

5 Windowsライセンス環境の不明瞭さ

自作PCでは、ライセンスがマザーボードにひもづいていたり、別途プロダクトキー管理になっていたりと状況がさまざまです。
今回もライセンス情報が不明だったため、部品交換後に認証関連の問題が起きる可能性がありました。

対応内容

今回の修理では、破損部位だけを見るのではなく、使用可能な部品を活かしながら全体を再構成する形で対応しました。

実施した作業

・PCケース交換
・マザーボード交換
・グラフィックボード交換
・電源ユニット移設
・メモリ移設
・CPU移設
・CPUグリス塗り直し
・HDD移設
・SSD移設
・Windows11 Pro ライセンス認証対応
・複数回の起動テスト
・電源ユニット動作確認
・メモリチェック

作業後の確認結果

交換と移設後、以下を確認しています。

・Windowsが正常に起動できることを確認
・複数回の起動テストOK
・電源ユニット動作正常
・メモリ異常なし
・グラフィック表示正常

マザーボード交換後はライセンス認証も実施し、OS環境を引き続き使用できる状態まで復旧しています。
単に電源が入るだけでなく、実用レベルでWindowsが起動できることまで確認できた点が今回の復旧の大きなポイントです。

再発防止・運用アドバイス

自作PCや大型グラフィックボード搭載機を輸送する場合、以下のような対策が有効になる場合があります。

・グラフィックボードを可能であれば取り外して別梱包する
・ケース内部に緩衝材を入れてカードの揺れを抑える
・重量級パーツは輸送前に固定状態を再確認する
・ケース足や底面への衝撃が伝わりにくい梱包を意識する
・到着後はすぐ通電せず、まず外観と内部のズレを確認する

特に自作PCは、メーカー製PCに比べて構成の自由度が高い反面、輸送時の重心や固定方法によって破損リスクが変わりやすい傾向があります。
宅配修理を前提に送る場合は、精密機器としてだけでなく、重量部品が載った立体構造物として考えて梱包することが大切です。

同じ症状で起きやすい別原因

今回のように「届いたあと起動しない」「画面が映らない」という症状は、一般的には以下の原因でも起こることがあります。

・メモリの抜け、接触不良
・SSDやHDDの故障
・電源ユニットの不良
・CPUクーラーずれやCPU過熱
・マザーボード電源回路の不具合
・グラフィックボード補助電源の差し忘れ
・BIOS設定不整合

そのため、見た目に破損がある場合でも、実際には複数の故障が重なっていることがあります。
今回は主要部品をひとつずつ確認し、破損部位と正常部位を切り分けたうえで修理を進めています。

同じトラブルの原因解説

配送後の起動不良や、自作PCの物理破損トラブルについては、以下のような原因記事も参考になります。

・自作PCが輸送後に起動しない原因
・グラフィックボードが破損した時の確認ポイント
・マザーボードのPCIスロット破損で起こる症状
・パソコン宅配後に画面が映らない時の原因
・自作PCのWindowsライセンス認証が外れるケース

まとめ

今回の事例では、到着時破損によって起動できなくなった自作タワー型デスクトップPCをお預かりし、ケース・グラフィックボード・マザーボードの破損を確認しました。
一方で、CPU、メモリ、SSD、電源ユニットは確認した範囲では大きな異常がなく、活かせる部品を移設する方針で修理を進めています。
最終的には、ケース交換、マザーボード交換、グラフィックボード交換、各部品の移設、ライセンス認証対応を行い、Windowsが正常起動する状態まで復旧しました。
輸送時破損は外装だけでなく内部部品まで影響することがあるため、見た目以上に慎重な点検が必要になるケースがあります。

同じ症状でお困りの方へ

今回のように

・宅配で送ったあとに起動しなくなった
・ケースが破損していて電源が入らない
・グラフィックボードやマザーボードが歪んでいる
・自作PCが届いたあと画面が映らない

といった症状は、内部部品の物理破損が原因の可能性があります。

当店ではこのような自作PCの配送破損、起動不良、部品交換を伴う修理にも対応しています。
部品の流用可否や、Windowsライセンス認証の確認も含めて点検を進めることができますので、同じような症状でお困りの際はお気軽にご相談ください。