はじめに
今回は、サイコム製BTOデスクトップパソコンで「電源が入らない」「ファンだけ回転する」という症状の修理事例をご紹介します。
ご相談時点で症状に変化があり、単純な電源不良ではなく、内部部品の切り分けが必要な状態でした。
実際に診断を進めたところ、メモリや電源ユニットでは改善せず、マザーボード側に問題が生じている可能性が高いと判断しました。
最終的にはマザーボード交換を実施し、Windows起動を確認したうえで、あわせてWindows11へのアップグレード作業まで対応しています。
同じ症状が出ていないか確認
以下のような症状がある場合、今回と似たトラブルの可能性があります。
・電源ボタンを押すとファンは回るが画面が映らない
・パソコンのランプは点くが起動しない
・電源が入ったように見えるのにBIOS画面も出ない
・メモリを差し直しても改善しない
・電源ユニットを疑ったが症状が変わらない
・昨日までは動いていたのに突然起動しなくなった
・BTOパソコンで通電はしているがWindowsが立ち上がらない
このような症状は、マザーボード・電源・メモリ・CPU周辺など複数の部品が候補になります。
そのため、見た目だけで判断せず、順番に切り分けて確認することが重要です。
お問い合わせ内容
今回のご依頼内容は以下の通りです。
・パソコンの電源が入らない
・ファンのみ回転する
・症状に変化がある
機種情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | サイコム |
| 機種 | BTOデスクトップ |
| OS | Windows10 |
| 補足 | 自由度の高いBTO構成のため、部品ごとの切り分けが重要な機種 |
現象確認
お預かり後、実機にて症状確認を行いました。
確認時の状態は以下の通りです。
・電源投入時にファンは回転する
・ただし正常起動には進まない
・症状に変化があり、完全に無反応ではない
・通電はしているが、起動処理が正常に完了していない状態
このような場合、一般的には
・メモリ不良
・電源ユニット不良
・マザーボード故障
・CPU周辺の異常
・構成部品の接触不良
などが候補になります。
特に「ファンだけ回る」「一見すると電源は入っているように見える」という症状は、BTOデスクトップで比較的よく見られる起動不良のひとつです。
点検・診断結果
今回の診断では、主要部品を順番に切り分けながら原因の特定を進めました。
メモリ確認
まず、起動不良の定番原因のひとつであるメモリを確認しました。
・メモリ交換を実施
・症状改善なし
メモリが原因であれば、交換や構成変更で症状に変化が出ることがあります。
今回は改善が見られなかったため、メモリ単体が主原因である可能性は低いと判断しました。
電源ユニット確認
続いて、電源ユニットの切り分けを行いました。
・電源ユニット交換を実施
・症状改善なし
電源ユニット不良の場合、通電不安定や起動途中停止が発生することもありますが、今回は交換しても症状が変わりませんでした。
そのため、電源ユニットの可能性も低いと考えられました。
部品の組み直し
接触不良や装着状態の乱れも疑い、組み直しを行いました。
・部品の組み直しを実施
・症状改善なし
長年使用したデスクトップでは、移動や経年変化によりわずかな接触不良が起きる場合があります。
ただし今回は組み直しでも変化がありませんでした。
最小構成での確認
さらに、不要な部品を外して最小構成で起動確認を行いました。
・最小構成での確認を実施
・症状改善なし
最小構成でも改善しない場合、主要部品の中でも特に
・マザーボード
・CPU周辺回路
・基板上の制御系統
に問題がある可能性が高くなります。
技術的判断
今回のケースでは、マザーボードに何らかの問題が生じている可能性が高いと判断しました。
判断理由は以下の通りです。
・メモリ交換でも改善しない
・電源ユニット交換でも改善しない
・部品の組み直しでも改善しない
・最小構成でも改善しない
ここまで切り分けを行っても症状が変わらない場合、起動を制御する中心部品であるマザーボードが原因となっているケースは少なくありません。
特に、ファンだけ回転する症状では、
・通電自体は一部できている
・しかしPOST(起動時の自己診断)やその先に進めない
・画面出力やOS起動まで到達できない
という状態になることがあります。
このような症状は、マザーボード上の回路異常や経年劣化、部品故障などで発生することがあります。
今回の切り分け結果から見ても、他の主要部品よりマザーボード故障の可能性が高いと判断するのが自然でした。
想定される原因
1 マザーボードの故障
今回もっとも可能性が高い原因です。
起動制御に関わる回路や基板上の異常により、ファンは回っても正常起動できない状態になっていた可能性があります。
2 マザーボード上の電源制御異常
電源ユニット自体に問題がなくても、マザーボード側の電源制御が正常でないと起動できないことがあります。
通電しているように見えても、必要な部分へ正常供給できていない場合があります。
3 経年劣化による基板トラブル
BTOパソコンでは構成によって長期間高負荷で運用されることもあり、基板や周辺回路の劣化が進むことがあります。
今回もそのような経年変化が関係していた可能性があります。
4 CPU周辺回路の不具合
CPU自体ではなく、マザーボード上のCPU周辺回路に異常があると起動不良になることがあります。
最小構成でも改善しない場合の候補のひとつです。
5 接触不良以外の基板不良
部品の組み直しで改善しなかったため、単純な抜き差しでは解消しない、より深い基板トラブルだった可能性があります。
対応内容
今回実施した対応は以下の通りです。
・マザーボード交換
・Windows起動確認
・Windowsライセンス認証確認
・Windows11へのアップグレード作業
・MBRからGPT/UEFIモードへの変換
・TPM非搭載環境への調整対応
・CPU要件回避のうえアップグレード作業
・Windows11起動確認
マザーボード交換
原因と考えられたマザーボードを交換し、動作確認を実施しました。
交換後、
・Windowsが正常に起動できること
・基本動作に問題がないこと
を確認しています。
ライセンス認証確認
マザーボード交換後は、Windowsライセンス認証が外れる場合があります。
今回は、Microsoftアカウントと紐づいていたため、認証が正常に行える状態であることを確認しました。
Windows11へのアップグレード
修理後の追加対応として、Windows11へのアップグレード作業も実施しました。
今回の環境では、
・HDDがMBR方式だった
・Windows11向けにGPT/UEFIモードへの変換が必要だった
・TPM非搭載
・CPU要件にも通常条件では合わない状態
という点があったため、構成を整えたうえでアップグレードを進めています。
最終的に、Windows11で正常起動できることを確認しました。
再発防止・運用アドバイス
今回のような起動トラブルをきっかけに、今後は以下の点も意識すると安心です。
・重要データは定期的にバックアップを取る
・起動に違和感がある時は早めに点検する
・長期間使用しているBTOパソコンは主要部品の寿命も意識する
・Windowsライセンスの紐づけ状況を事前に確認しておく
・OSアップグレード前にはストレージ構成や起動方式を確認する
特にBTOパソコンは構成自由度が高い反面、故障時には部品単位での切り分けが重要になります。
また、マザーボード交換時にはライセンスや起動方式の整理も必要になることがあります。
同じ症状で起きやすい別原因
「電源が入らない」「ファンのみ回転する」という症状は、一般的には以下の原因でも発生することがあります。
・メモリ不良
・電源ユニット不良
・CPU不良
・グラフィックボード不良
・BIOS異常
・部品の接触不良
・ストレージ異常による起動停止
そのため、実際の修理では一気に決めつけず、今回のように順番に切り分けることが大切です。
同じトラブルの原因解説
このような起動不良については、以下のような原因記事でも解説できます。
・パソコンの電源が入らない原因
・ファンは回るのに起動しない原因
・マザーボード故障の症状
・BTOパソコンが突然起動しなくなる原因
・Windows11アップグレード前に確認したいポイント
まとめ
今回の事例では、**サイコム製BTOデスクトップで「電源が入らない」「ファンのみ回転する」**という症状を確認しました。
メモリ交換、電源ユニット交換、組み直し、最小構成での確認を行っても改善が見られなかったため、マザーボード故障の可能性が高いと判断しました。
その後、マザーボード交換によりWindowsの正常起動を確認し、あわせてWindows11へのアップグレードにも対応しています。
起動不良は原因が幅広いため、やみくもに部品交換するのではなく、順番に切り分けて診断することが重要だと分かる事例でした。
同じ症状でお困りの方へ
今回のように
・電源ボタンを押すとファンだけ回る
・画面が映らずWindowsが起動しない
・メモリや電源を疑ったが改善しない
・BTOパソコンが突然使えなくなった
といった症状は、マザーボードを含む主要部品の故障が原因の可能性があります。
当店ではこのようなBTOパソコンの起動不良診断、部品切り分け、マザーボード交換、Windows環境の復旧にも対応しています。
宅配修理にも対応していますので、同じような症状でお困りの際はお気軽にご相談ください。
